ツール解説Claude Skills

Claude Skills とは何か?── AI に「専門技」を覚えさせる仕組みを、料理本のたとえで一般読者向けに 8 分でわかる

Claude Skills は「AI に持たせる料理本ファイル」。フォルダに SKILL.md を置いておくと、Claude が必要なときだけ開いて使う仕組み。Anthropic が 2025-10-16 に発表し 2025-12-18 にオープンスタンダード化。プロンプトの軽さと MCP の永続性の中間を埋める設計。一般読者向けに「料理本のたとえ」で 3 段階ロード、SKILL.md の書き方、3 プラットフォームの違い、業務利用のチェックリストまで整理。

中澤 圭志

中澤 圭志

@keishi_nakazawa

Sales Claw 開発者

·12
Claude Skills とは何か?── AI に「専門技」を覚えさせる仕組みを、料理本のたとえで一般読者向けに 8 分でわかる

Key Facts

発表日 / 仕様確定

2025-10-16 発表 / 2025-12-18 オープンスタンダード化

必須フィールド

SKILL.md の name (≤64字) と description (≤1024字) の 2 つだけ

3 段階ロード

メタデータ常時 (~100t) / 本体トリガー時 (<5kt) / 追加リソース必要時

対応プラットフォーム

Claude.ai (Pro+) / Claude Code / Claude API (skill_id 経由)

「Claude Skills って聞いたけど、ChatGPT の GPTs と何が違うの?」「プロンプトを うまく書けばいいだけじゃないの?」「自分で作る必要があるの? それとも Anthropic が用意した ものを使えばいいの?」—— 本記事では、Anthropic が 2025 年 10 月 16 日に発表したClaude Skills (Agent Skills) を、AI に詳しくない一般読者向けに整理します。 Anthropic 公式 Docs・公式ブログ・GitHub の公開リポジトリを一次情報として参照しながら、「何ができて」「何が落とし穴で」「明日から触るにはどうするか」を解説します。

本記事は Anthropic 公式ブログ「Claude Skills」(2025-10-16)・Anthropic Engineering Blog「Equipping agents for the real world with Agent Skills」・Claude API Docs 「Agent Skills Overview」・GitHub anthropics/skills 公開リポジトリ・Claude Code Skills 公式 Docs を一次情報として参照しています。一部、文脈整理のため第三者解説も参考にしましたが、 判断の核となる仕様・日付はすべて公式情報に紐づけています。

1. Claude Skills とは — 一言で言うと「AI に持たせる料理本ファイル」

【公式発表】 Anthropic 公式ブログ「Claude Skills」は、Skills を「instructions, scripts, and resources を 含む folders で、Claude が必要なときに読み込んでパフォーマンスを上げる」ものと定義しています。 Anthropic Engineering の解説では「well-organized manual(整理された分厚いマニュアル) のように、目次から章へ、章から付録へと段階的に 必要な部分だけ読む」設計だと説明されています。

【著者見解】 身近な例で言うと、料理本のたとえが一番直感的です。Claude に「世界中の料理を全部覚えておけ」と言うのは無理ですが、 本棚に「フランス料理」「和食」「製菓」と分野ごとの料理本 (Skill フォルダ)を 置いておけば、お客さんから注文が来たときに該当する 1 冊だけを開けばよくなります。 Skills とは、AI にこの「本棚と料理本」を持たせる仕組みだと理解してください。

ポイントは 「automatically when relevant (関連したら自動で使う)」 の部分です。 ユーザーが「PDF を埋めたいから pdf-skill を使え」と毎回言う必要はなく、Claude が説明欄を見て自分で「使う / 使わない」を判断します。 これがプロンプト式の指示との一番大きな違いです。

2. なぜ 2025 年 10 月に Anthropic は Skills を出したのか

【公式発表】 Anthropic 公式ブログによると、Skills は2025 年 10 月 16 日に正式発表され、2025 年 12 月 18 日に「組織全体での管理機能」と「オープンスタンダードとしての公開」が 追加されました (Anthropic Newsroom 2025-12-18)。Anthropic 自身が「Claude が general-purpose agents として fully-fledged computing environments と interact できるようになった」と説明しています。

【著者見解】 噛み砕くと、Skills が出てきた背景は、「プロンプト」と「MCP」のあいだに大きな穴があったことです。前者は会話 1 回で消えてしまい、後者は外部サーバを動かす必要があって重い。 その中間に「ファイルに書いておけば永続的に使える、サーバ不要の手順書」が 欲しいという声が 2025 年に急速に高まりました。Skills はその穴を埋めるために設計された、 と理解できます。

仕組み永続性実行環境向いている用途
プロンプト (chat)会話 1 回で消える不要その場の即興指示
Claude Skills永続 (ファイル)不要 (filesystem のみ)組織のやり方・手順書
MCP サーバ永続 (サーバ)必要 (HTTP/Stdio)外部システム連携
fine-tuning永続 (モデル重み)不要モデルの根本的な性格変更
プロンプトとスキルと MCP と fine-tuning の 4 つを横並びに比較したホワイトボード説明図。中央にスキルを大きく置き、左右に他の 3 つを配置。永続性・実行環境・向く用途を付箋で添えた構成
図: Claude Skills の位置づけ。プロンプト・スキル・MCP・fine-tuning の使い分け全体像

3. Skills の中身 — Progressive Disclosure の 3 段階ロード

【公式発表】 Claude API Docs「Agent Skills Overview」は、Skills のロードを 3 段階に 明確に分けています:

  • Level 1: メタデータ (常時ロード、約 100 トークン/スキル) ──SKILL.md 冒頭の YAML フロントマター (namedescription) のみ。Claude はこれをシステムプロンプトに含めて起動時に把握。
  • Level 2: 本体指示 (発動時ロード、5,000 トークン以内) ── ユーザー要求がスキルの説明にマッチすると、Claude が bash で SKILL.md 本体を ファイル読み取りして初めてコンテキストに入る。
  • Level 3: 追加ファイル (必要時のみ、実質無制限) ──SKILL.md から参照されている FORMS.mdREFERENCE.md や 実行スクリプト (fill_form.py 等)。スクリプトの中身はコンテキストに入らず、 実行結果だけが返るので大きな処理を軽量に扱える

【著者見解】 この 3 段階設計の凄さは「スキルを 100 個入れてもコンテキスト窓を圧迫しない」点にあります。100 個 × 100 トークン = 10,000 トークン (Claude Opus 4.7 の 1M token に比べたら 1% 程度) で「使えるスキル一覧」が常時保持できる。料理本に例えると、本棚に 100 冊並んでいても、 普段見えているのは背表紙のタイトルだけで、注文が来たときに該当する 1 冊を 本棚から取り出すイメージです。

4. SKILL.md の書き方 — 一般読者でも 5 分でわかる構造

公式 Docs に載っているテンプレートはとても単純です:

---
name: pdf-processing
description: Extract text and tables from PDF files, fill forms, merge documents. Use when working with PDF files or when the user mentions PDFs, forms, or document extraction.
---

# PDF Processing

## Quick start

Use pdfplumber to extract text from PDFs:

```python
import pdfplumber

with pdfplumber.open("document.pdf") as pdf:
    text = pdf.pages[0].extract_text()
```

For advanced form filling, see FORMS.md.

【公式発表】 namedescription には公式の制約があります:

  • name: 最大 64 文字、英小文字・数字・ハイフンのみ。 XML タグ禁止。「anthropic」「claude」という単語は使用不可。
  • description: 最大 1,024 文字、空文字禁止。XML タグ禁止。「何をするか」と「いつ使うか」の両方を必ず書くのが推奨。

【著者見解】 ここで一般読者が一番つまずくのは description の書き方です。「PDF を扱う」だけでは不十分で、「PDF を扱うときや、ユーザーが PDF・フォーム・文書抽出に 言及したときに使う」と書くのが正解。Claude はこの説明を読んで「今これを 使うべきか」を判断するので、料理本の「いつ開く本か」を書く目次みたいに考えてください。

pdf-skill フォルダの内部構造を描いたホワイトボード説明図。中央に SKILL.md、左に FORMS.md と REFERENCE.md、右に scripts/fill_form.py を配置し、それぞれが「いつ読まれるか」のラベル付き矢印で Claude のコンテキスト窓に流れていく図
図: SKILL.md のフォルダ構造例。本体 1 つ + 追加 MD 数枚 + scripts/ ディレクトリの 3 階層

この引用は「本体は薄く、付録は厚く」という Skills 設計の核心です。SKILL.md 本体に全部詰め込むと、発動するたびに 5,000 トークンが消費されて しまいます。「フォーム入力のときだけ FORMS.md を別途読む」ように分けて おけば、普段の発動コストを最小化できます。詳しくはMCP (Model Context Protocol) 完全ガイドも併読してください。

5. どこで動くか — Claude.ai / Claude Code / API の 3 つの世界

プラットフォーム組み込みスキルカスタムスキル共有スコープ
Claude.aipptx / xlsx / docx / pdf (自動)zip でアップロード個人ユーザーのみ
Claude Code(なし)SKILL.md ファイル直置きパーソナル or プロジェクト
Claude APIpptx / xlsx / docx / pdf/v1/skills 経由でアップロードワークスペース全員

(1) Claude.ai — 一番カジュアル

【公式発表】 Claude.ai では Pro / Max / Team / Enterprise プランのユーザーが 「Settings > Features」から zip ファイルでスキルをアップロードできます (公式 Docs)。 Anthropic 公式の PowerPoint / Excel / Word / PDF スキルはセットアップ不要で裏で動いているため、「Excel ファイルを作って」と 頼むだけで自動的に xlsx スキルが発動します。

(2) Claude Code — 開発者向けに最適

【公式発表】 Claude Code はカスタムスキルのみサポート。~/.claude/skills/ (パーソナル) または.claude/skills/ (プロジェクト) にフォルダ単位で置くだけで、Claude が自動検出します。 API アップロード不要で、ファイルシステムベースで完結する点が特徴です。 Claude Code Plugins 経由で配布もできます。

(3) Claude API — 本番自動化向け

【公式発表】 API では /v1/skills エンドポイントでカスタムスキルをアップロードでき、ワークスペース全員で共有されます。利用には次の 3 つの beta ヘッダーが 必要です: code-execution-2025-08-25skills-2025-10-02files-api-2025-04-14

6. ふつうの人がはじめる手順 — 既製スキルを使う or 自作する

ステップ 1: 組み込みスキルを「意識せず使う」(0 円〜)

Claude.ai Pro 以上なら、もうあなたはすでにスキルを使っています。「この Excel を整えてグラフを付けて」「PDF からテキストを抽出して」と 頼むだけで、裏で xlsxpdf スキルが発動しています。 まずは「組み込みスキルが何ができるか」を体感するところから始めるのが最短ルートです。

ステップ 2: GitHub の公式サンプルを真似て自作 (Claude Code)

Anthropic は github.com/anthropics/skillsでオープンソースのスキルを公開しています。Claude Code ユーザーなら、好きなサンプルを~/.claude/skills/ にコピーするだけで使えます。自作するときはSKILL.md をテンプレに従って 1 枚書き、必要なら追加 md ファイルと scripts/ ディレクトリを足せば完成です。

ステップ 3: 業務独自のスキルを社内に展開 (API ワークスペース)

社内で「営業文の書き方ガイドライン」「サポート返信のトーン規定」などを Claude に 守らせたいなら、API ワークスペースにスキルをアップロードすれば全員に共有されます。 Sales Claw のような業務特化エージェントでも、フォーム送信の マナー・記入ルール・NG ワードを SKILL.md に書いておくと、Claude が 毎回確認してから送信する設計が組めます。

Claude Skills を始める 3 ステップを階段状に並べた説明図。左から「ステップ1: 組み込みスキルを意識せず使う」「ステップ2: GitHub サンプルを真似て自作」「ステップ3: API ワークスペースで社内展開」を矢印で結び、それぞれの所要時間とプラットフォームを付箋で添えた構成
図: 一般読者がスキルを始める 3 ステップ。組み込み体感 → 自作 → 社内展開
Claude Skills の主要マイルストーンを横軸タイムラインで示した図。2025-10-16 正式発表、2025-12-18 オープンスタンダード化・組織管理機能、2026-05 現在 (3 プラットフォーム展開済) を時系列で並べた折れ線図
図: Claude Skills のリリースタイムライン (2025-10 発表 → 2025-12 オープンスタンダード → 2026-05 現在)
Skills の Level 1 / 2 / 3 のトークンコストを棒グラフで比較した図。Level 1 = ~100 tokens/skill、Level 2 = <5,000 tokens (発動時)、Level 3 = ファイル経由で実質無制限の対比
図: Progressive Disclosure の 3 段階トークンコスト比較。スキル 100 個入れても普段は重くならない
Claude.ai / Claude Code / Claude API の 3 プラットフォームを縦軸、組み込みスキル対応・カスタムスキル方式・共有スコープ・ネットワーク制約の 4 項目を横軸にとった機能差マトリクス図
図: 3 プラットフォームの機能差マトリクス。組み込みスキル・カスタム・共有スコープの違い

7. リスクと注意点 — 信頼できないスキルを入れる怖さ

【公式発表】 Anthropic Docs は明確に「Use Skills only from trusted sources (信頼できるソースの スキルだけ使え)」と警告しています。スキルは Claude に新しい能力を与えますが、 悪意あるスキルは Claude のツール (ファイル操作・bash・コード実行) を悪用してデータ流出・不正アクセス・破壊操作を行わせる可能性があります。

【未確認】 2026 年 5 月時点で「悪意あるスキルが原因の重大事故」が公式に発表された事例は 確認できていません。ただし、Anthropic が「インストールするソフトウェアと同じ重みで扱え」と わざわざ警告していること自体が、リスクが理論的に存在することを示しています。

【推測】 スキルのエコシステムが拡大するにつれて、サードパーティ製スキルの審査・配布の仕組みが 2026 年後半までに登場する可能性が高いと著者は見ています。npm のように 「公式バッジ」や「サンドボックスでの審査ログ」が整備されれば、企業の調達担当も 導入判断がしやすくなります。

(1) Zero Data Retention (ZDR) の非対象

【公式発表】 Anthropic Docs は「Skills は ZDR (Zero Data Retention) の対象外」と 明記しています。Skill 定義と実行データは Anthropic の標準データ保持ポリシーに従って保持されます。 コンプライアンス要件で ZDR が必須の業種 (金融・医療・政府等) では、Skills を使うかどうかを 事前に法務に確認するのが安全です。営業自動化文脈であれば、CAPTCHA を突破させない設計、 送信頻度の上限、特定電子メール法のオプトアウト導線の確保といった法的観点もまとめて スキルに書いておくのが堅実です。

(2) プラットフォーム別のネットワーク制約

実行環境はプラットフォームで違います: Claude API は完全にネットワーク遮断(外部 API 呼び出し不可、ランタイムでのパッケージインストール不可)、Claude Code は完全アクセス可能 (ユーザー PC と同じ権限)、Claude.ai は管理者設定次第。同じスキルでも動く環境を間違えると意図せず 動かなかったり、逆に必要以上に強い権限で動いたりします。

(3) プラットフォーム間で同期されない

前述のとおり、Claude.ai / Claude Code / API でスキルは別々に管理されます。 Claude.ai では「個人ユーザーのみ」「組織で一元管理する仕組みなし」のため、 社内で全員に統一スキルを配るには API ワークスペース or Claude Code Plugins を使う必要があります。 管理運用の設計を最初に考えておかないと、後で「人によって持ってるスキルが違う」混乱が起きます。

8. 業務利用と Sales Claw 文脈 — 営業エージェントから見た意味

【著者見解】 Sales Claw 開発の現場で見えてきたのは、「組織のやり方」をどこに書いておくかが AI 営業自動化の品質を決める、という事実です。プロンプトに書くと毎回 (高い) ロングコンテキストを 消費し、メンテも分散します。MCP サーバに実装するとオーバーキル。中間の Skills が 「営業 NG ワードリスト」「フォーム記入のマナー」「監査ログのフォーマット」のような ガイドラインを置く器として最適です。

Sales Claw 本体 (営業フォーム送信エンジン) は OSS の Python/TypeScript で実装されており Skills には依存しませんが、このブログ記事の自動執筆 (blog-write スキル) や note.com 投稿 (note-publish スキル) は Claude Code Skills として実装されています。SKILL.md に「Fatal Gate 18 項目」「Brand Editor の禁止語」「画像生成の wrapper 経由ルール」 など組織固有のガイドラインを書いておき、Claude が毎回確認してから動く構成です。

業務でスキルを採用する前のチェックリスト

スキルを業務導入する前に

  • スキルの作者と入手元が信頼できる (公式 or 自社)
  • SKILL.md と scripts/ を全部目視レビューした
  • 外部 URL を fetch するスクリプトの取得先を確認した
  • ZDR が必須の業務でないか法務に確認した
  • プラットフォーム (Claude.ai / Code / API) ごとの権限差を把握
  • 社内で「誰がどのスキルを持っているか」の管理方法を決めた
  • 更新時の通知・バージョン管理のフローを設計した
  • スキル発動時のログ (どのスキルが、いつ、何のために発動したか) を残す
  • 隔離環境で 100 件サンプルの挙動を観察した
  • 本番投入後の改善・廃止のフローが定義されている

まとめ — 「組織のやり方」を AI に持たせる時代に

Claude Skills は、プロンプトの軽さと MCP の永続性の中間を埋める 新しい器です。SKILL.md 1 枚から始められる手軽さと、Progressive Disclosure による効率的なコンテキスト管理。Anthropic がオープンスタンダードとして公開したことで、 2026 年以降は「組織のやり方」を AI に持たせる主流フォーマットになる可能性が 高いと著者は見ています。

次のアクション: まずは Claude.ai Pro 以上で「Excel ファイルを作って」と頼んで、 裏で組み込みスキルが動く体験をしてみてください。それで仕組みが腑に落ちたら、 Claude Code ユーザーは ~/.claude/skills/github.com/anthropics/skillsのサンプルを置いて自作の練習を。業務での営業エージェント文脈での活用例はSales Claw クイックスタートガイド無料ダウンロードページから確認できます。

「組織のやり方」を AI に持たせる時代へ。Sales Claw の Skills 設計を、自分のリストで動かしてみよう。

無料・MIT ライセンス。インストールせずにライブデモも試せます。

よくある質問

Claude Skills とは何ですか?
Claude Skills (Agent Skills) は、Anthropic が 2025 年 10 月 16 日に発表した、Claude に専門知識を持たせるための「フォルダベースの拡張ファイル」です。各 Skill は SKILL.md という説明書ファイルを中心に、追加の指示・スクリプト・参考資料をフォルダにまとめたもの。Claude は SKILL.md 冒頭のメタデータ (name と description) を常時把握し、ユーザー要求に関連したら自動的に該当する Skill を読み込んで使います。プロンプトのように 1 回限りではなく、ファイルとして保存されるため会話をまたいで再利用でき、MCP のように外部サーバを動かす必要もありません。Anthropic 公式の PowerPoint / Excel / Word / PDF スキルが Claude.ai と API ですでに使えます。
ChatGPT の GPTs と何が違いますか?
設計思想が違います。ChatGPT GPTs は「カスタム GPT」という独立したチャットボットを作る仕組みで、ユーザーが「どの GPT を使うか」を明示的に選んで起動する必要があります。Claude Skills は同じ Claude が、必要に応じて自分で複数の Skills を組み合わせて使う点が決定的に違います。たとえるなら、GPTs は「キャラを切り替える」、Skills は「同じキャラに持ち物を増やす」イメージです。また Skills は Claude.ai / Claude Code / Claude API の 3 プラットフォームで共通フォーマットとして動き、2025-12 にオープンスタンダードとして公開されたため、ベンダーロックインも弱めです。
Skills と MCP は何が違いますか?
実行モデルが違います。MCP (Model Context Protocol) は外部サーバを動かして Claude にツール (関数群) を提供する仕組みで、HTTP や Stdio で通信します。Skills はファイルベースで、Claude が bash 経由で SKILL.md を読み込むだけで動作し、サーバは不要です。役割分担として、MCP は「外部システム連携 (Slack 投稿、GitHub PR 作成、データベース問い合わせなど)」、Skills は「組織のやり方や手順の固定化 (営業文ルール、サポート返信トーン、品質チェック手順など)」に向きます。両者は併用でき、たとえば「Skills に書かれたガイドラインを守りつつ MCP 経由で Slack に投稿する」といった構成が可能です。
SKILL.md はどう書けばいいですか?
必須要素はたった 2 つ、name と description です。name は最大 64 文字で英小文字・数字・ハイフンのみ、anthropic と claude という単語は使用不可。description は最大 1,024 文字で「何をするか」と「いつ使うか」の両方を必ず書きます。たとえば「pdf-processing: Extract text and tables from PDF files, fill forms, merge documents. Use when working with PDF files or when the user mentions PDFs, forms, or document extraction.」のように、機能と発動条件を 1-2 文で明示するのが推奨スタイル。本体には「指示・例・コードブロック」をマークダウンで書き、長くなる手順や API リファレンスは別ファイル (FORMS.md, REFERENCE.md など) に切り出して SKILL.md から参照します。これが Progressive Disclosure の本質で、SKILL.md を薄く保つことで発動時のトークン消費を最小化します。
Progressive Disclosure とは何ですか?
Progressive Disclosure (段階的開示) は、Skills の中核となる設計思想で「必要になったときだけ情報を読み込む」3 段階ロードのことです。Level 1 はメタデータ (約 100 トークン / Skill、常時ロード) で、Claude は起動時に全 Skills の name と description を把握。Level 2 は SKILL.md 本体 (5,000 トークン以内、トリガー時ロード) で、ユーザー要求が Skill の説明にマッチすると bash 経由でファイル読み取り。Level 3 は追加リソース (実質無制限、必要時のみ) で、FORMS.md などの追加 md ファイルや fill_form.py などの実行スクリプト。スクリプトの中身はコンテキストに入らず実行結果だけが返るため、大きな処理を軽量に扱えます。この設計により、Skills を 100 個入れても普段はコンテキスト窓を圧迫しません。
どこで Skills を使えますか?
3 つの場所で動きます。(1) Claude.ai (Pro / Max / Team / Enterprise プラン): 組み込みスキル (PowerPoint / Excel / Word / PDF) はセットアップ不要で自動発動。カスタムスキルは Settings > Features から zip でアップロードでき、ただし個人ユーザーのみで組織管理機能はありません。(2) Claude Code: カスタムスキルのみ対応。~/.claude/skills/ (パーソナル) または .claude/skills/ (プロジェクト) にフォルダを置くだけで自動検出され、API アップロード不要。Claude Code Plugins 経由で配布もできます。(3) Claude API: /v1/skills エンドポイントでカスタムスキルをアップロードでき、ワークスペース全員で共有されます。3 つの beta ヘッダー (code-execution-2025-08-25 / skills-2025-10-02 / files-api-2025-04-14) が必要。注意点として、プラットフォーム間で Skills は同期されないため、同じスキルを 3 ヶ所で使いたければ 3 回別々にアップロードする必要があります。
Claude Skills のリスクは何ですか?
主に 3 つです。(1) 信頼できないスキルの危険性: Anthropic 公式 Docs は明確に「Use Skills only from trusted sources」と警告しており、悪意あるスキルは Claude のツール (ファイル操作・bash・コード実行) を悪用してデータ流出や不正アクセスを起こせます。インストール前に SKILL.md と scripts/ を全部目視レビューし、外部 URL を fetch するスキルは特に慎重に扱ってください。(2) ZDR (Zero Data Retention) の非対象: Skills は ZDR 対象外で、Skill 定義と実行データは Anthropic の標準データ保持ポリシーに従って保持されます。金融・医療・政府のような規制業種では事前に法務に確認すべきです。(3) プラットフォーム間で同期されない: Claude.ai / Code / API で Skills は別々に管理され、Claude.ai は個人のみで組織管理機能なし。社内で全員に統一スキルを配るには API ワークスペース or Claude Code Plugins を使う必要があります。

この記事の著者

中澤 圭志

中澤 圭志

Sales Claw 開発者

Sales Claw の設計・開発を担当。BtoB 営業自動化と AI 活用の実践者として、現場目線で情報発信中。

この記事をシェア